第7回 華文教育大講堂を開催
海外華文教育の現状とAIによる教育革新をめぐって活発な議論
2025年5月11日午後、曁南大学日本学院にて「第7回 華文教育大講堂」が無事開催されました。
この講堂シリーズは2024年のスタート以来すでに6回の開催実績があり、日本における華文教育の現場に対し、先進的な理念と実践的な知見を継続的に提供し続けています。
今回の講座では、曁南大学華文学院より邵宜教授と熊玉珍副教授を講師として迎え、曁南大学日本学院の童盛強・常務副院長が司会を担当。日本の大学関係者や華文教育の実践者、修士・博士課程の学生たちが多数参加し、華文教育の課題と未来について熱い議論が交わされました。
海外華文教育の課題と高品質な発展に向けて|邵宜教授

邵宜教授は「海外華文教育の現状・動向と高品質な発展」をテーマに講演を行いました。
講演では、海外の華文教育が現在直面している主な課題として、
- 教師不足
- 教材の現地化の遅れ
- 学校運営規模の縮小
などがあることを指摘。これらの課題に対応するためには、デジタル化の推進、多様な学習者層の受け入れ、文化的アイデンティティの構築などが今後の大きな方向性であると説明しました。
さらに、真の「高品質な発展」に向けては、
- 教育の持続可能性の確保
- 教材・教育資源の最適化
- 教育手法の革新
- 国際的な協力の深化
が不可欠であると述べ、より専門的かつ体系的なグローバル華文教育ネットワークの構築を呼びかけました。
AIで広がる中国語教育の未来|熊玉珍副教授

続いて登壇した熊玉珍副教授は、「AIがもたらす国際中文教育の応用と典型的な事例」というテーマで、テクノロジーと教育を組み合わせた最新の実践報告を行いました。
AI技術が中国語教育にどのように活用されているか、実際の授業シーンを交えて多数の事例を紹介。特に、「AIは中国語教師を代替するのではなく、教育に翼を与えるもの」という視点を強調し、教育の質と効率を高め、授業の多様化を実現する可能性に光を当てました。
学術界・教育界の交流と意見交換



講演後のディスカッションでは、日本大学特任教授の呉川氏、全日本華人華僑社団連合会法人理事の高原龍一氏、杏林大学教授の劉迪氏らが登壇。講演内容を踏まえ、華文教育の現地化、国際連携のあり方などについて、それぞれの専門的視点から意見や提案を述べ、活発な交流が展開されました。
感謝の辞と今後への展望

イベントの締めくくりには、日本学院日方代表である栗田秀子会長より感謝の挨拶がありました。
栗田会長は、日本学院がこれまでに行ってきた華文教育への取り組み――大講堂シリーズや国際シンポジウムの開催など――を振り返りながら、学院が担う中日文化交流と中国語人材育成の使命について改めて言及しました。
今後も日本学院は、華文教育に新たな活力を注ぎ、より質の高い教育と革新を追求していく方針を示しました。
華文教育の「今」と「これから」をつなぐ学びの場に

今回の第7回講堂は、華文教育に携わるすべての関係者にとって、現状を見つめ、未来を構想するきっかけとなる貴重な機会となりました。理論と実践、現場と研究、教育とテクノロジーが交差するこの場は、単なる講義を超えた「革新のための対話の場」として高く評価されました。
曁南大学日本学院では、今後も引き続き華文教育の研究と実践の深化、中外交流の橋渡し役としての役割を果たしてまいります。次回以降の「華文教育大講堂」にもぜひご期待ください。